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贈りものを選んでいるとき、原材料表示までちゃんと読んでいる人は、たぶんそんなに多くありません。わたしも長いあいだ、読めないものだと思って飛ばしていました。
ところが、お取り寄せの商品ページを1つずつ書き写していくうちに、読み方には決まった型があることに気づきました。覚えることは4つだけです。そして4つ覚えると、「無添加」「無着色」「グルテンフリー」といった大きな文字が、何を言っていて、何を言っていないのかが見えるようになります。
この記事は、その4つと、実際の商品でつまずいた例をまとめたものです。
はじめにお断りしておきます
- この記事は食物アレルギーの医学的な助言ではありません。「これなら食べられます」と判断するための記事ではなく、商品ページに書いてある文字を読み解くための記事です。
- 原材料や製造工場は予告なく変わります。この記事に出てくる商品の表示も、いま同じとは限りません。買う前に必ず、その時点の商品ページと、届いた実物のパッケージを確認してください。
- 「卵・乳・小麦不使用」と書かれていても、同じ設備でほかの製品を作っていることによる混入(コンタミネーション)までは防げないことがあります。症状の重い方に贈るときは、メーカーに直接確認するのがいちばん確実です。
- そもそもの話として、アレルギーのある方への食べものの贈りものは、事前に相手に聞けるなら聞くのが最善です。この記事は「聞けないとき、どこまで読み取れるか」の話です。
大きな文字より、小さな文字
商品名やキャッチコピーは売るための言葉です。原材料表示は、決まりに沿って書かれた言葉です。
専門家ではなく、商品ページを何百本と書き写してきた一般人の視点でまとめています。制度そのものについては、消費者庁「アレルギー表示について」が一次情報です。
この記事の内容
コツ① スラッシュ「/」より後ろが添加物
加工食品の原材料表示は、材料をたくさん使っている順に並べるという決まりで書かれています。そして多くの商品で、途中にスラッシュ「/」が入っています。これが目印です。
スラッシュの前と後ろ
/より前=食品そのもの(豚肉、砂糖、小麦粉、しょうゆ…)
/より後ろ=添加物(調味料、酸化防止剤、着色料、発色剤…)
つまり、スラッシュが無い商品は、添加物が使われていないということになります。長い原材料表示を見て身構えたときも、まずスラッシュを探すと、どこまでが「食べもの」なのかがすぐ分かります。
たとえば博多のやまやの明太子は、こう書かれていました。
| 位置 | 書かれていたもの |
|---|---|
| /より前 | すけとうだらの卵、米発酵調味料、食塩、唐辛子、たん白加水分解物、ゆず、酒、醤油、みりん、昆布エキス、魚醤 |
| /より後ろ | ソルビット、調味料(アミノ酸等)、酸化防止剤(ビタミンC)、酒精、酵素、発色剤(亜硝酸Na)、香辛料 |
この商品は「無着色」とうたっていて、それは本当でした。着色料は入っていません。ただし添加物そのものは7つあります。→ やまや 明太子 美味(無着色)
逆に、岐阜の中山道ハムのロースハムは「豚肉、岩塩、藻塩、黒砂糖、香辛料」で終わりでした。スラッシュがありません。同じように、フリーデンのやまと豚ソーセージも「豚肉、でん粉、食塩、香辛料、ポークエキス、砂糖」まででスラッシュ無し。この2つは、表示のうえでは添加物ゼロです。→ 中山道ハム FG-05/やまと豚 無塩せき NSG-A
コツ② 括弧の中を読む。括弧の中の括弧まで
2つめは括弧です。括弧は、その直前にある言葉の中身の説明だと思って読むと、急に読めるようになります。
岩手・格之進のハンバーグの原材料が、いい例でした。
食肉(豚肉(国産)、牛肉(国産)、ソテードオニオン(玉葱)、つなぎ(鶏卵、パン粉(小麦を含む)、牛乳)、牛脂(国産)、塩麹(米、米麹、食塩)…
ぱっと見て読む気をなくす書き方ですが、順に開いていくとこうなります。
・ソテードオニオン(玉葱)=ソテードオニオンとは玉葱のこと
・つなぎ(鶏卵、パン粉(小麦を含む)、牛乳)=つなぎの中身は鶏卵とパン粉と牛乳。そのパン粉には小麦が入っている
この短い一か所に、卵・乳・小麦が3つとも入っていました。「つなぎ」とだけ書いて終わりにすることもできたはずのところを、中身まで開いて書いてくれているから読み取れます。
ハンバーグ・ミートボール・つみれのように「まとめる材料」が必要な食べものは、卵・パン粉(小麦)・牛乳が揃いやすい——これは覚えておくと役に立ちます。→ 格之進 金格ハンバーグ
コツ③ いちばん最後の「(一部に◯◯を含む)」
原材料表示のいちばん後ろに、「(一部に卵・えびを含む)」のような一文が付いていることがあります。これは、その商品に含まれるアレルゲンを最後にまとめて書く方式です。長い原材料を全部読まなくても、ここだけで分かるように作られています。
小田原の鈴廣の蒲鉾では、紅も白も「(一部に卵・えびを含む)」でした。蒲鉾に卵、と意外に思うかもしれませんが、卵白がつなぎに使われています。→ 鈴廣 謹上蒲鉾 紅白
この一文が無いこともあります
- アレルゲンを原材料の中にそのつど書き込む方式(「パン粉(小麦を含む)」のように)を採っている商品では、最後のまとめが無いことがあります。無い=入っていない、ではありません。
- そもそも包装されていない商品や、量り売り・店頭調理のものは、表示のルールが加工食品と同じではありません。
コツ④ 詰め合わせは、中身ごとに違う
これがいちばん見落としやすいところです。詰め合わせの原材料表示は、中の品ごとに別々に書かれています。箱としての表示があるわけではありません。
小田原の鈴廣の紅白かまぼこは、同じ箱に紅と白が1本ずつ入っていて、同じ「謹上蒲鉾」という名前の商品です。その2本の原材料を並べたら、10品目まで順番までまったく同じで、違いはいちばん最後の一つだけでした。
【白】魚肉、みりん、卵白、食塩、砂糖、昆布だし、酒粕、清酒、魚醤、魚介エキス
【紅】魚肉、みりん、卵白、食塩、砂糖、昆布だし、酒粕、清酒、魚醤、魚介エキス/着色料(カルミン酸)
紅いほうにだけ、着色料が入っています。同じ箱の、同じ名前の商品でも違うのです。
静岡の伊豆河童のあんみつ5個セットを1個ずつ確認したときは、4つが「特定原材料等を含まず」で、「黒蜜きなこ」だけ大豆の記載がありました。さらに「お抹茶かさね」の抹茶みつには、はちみつが入っていました。→ 伊豆河童 あんみつ5個
詰め合わせは、いちばん危ないものに合わせる
5個のうち4個が大丈夫でも、贈りものとしては「食べられないものが混じっている箱」になります。
「無添加」「無着色」「無塩せき」が言っていないこと
ここからは言葉の話です。売り場で目立つ言葉ほど、意味の範囲が思っているより狭いことがあります。
| 言葉 | 言っていること | 言っていないこと |
|---|---|---|
| 無添加 | 何かを添加していない | 何を添加していないかは商品による。「無添加」だけでは範囲が決まりません。「保存料無添加」のように何が無添加なのかまで書いてある表示のほうが読み取れます |
| 無着色 | 着色料を使っていない | ほかの添加物のことは何も言っていません。着色料ゼロでも、調味料・酸化防止剤・発色剤などが入っていることがあります |
| 無塩せき | 発色剤(亜硝酸Naなど)を使わない作り方 | 原材料が少ないという意味ではありません。ハムやソーセージの「塩せき」という工程の話で、塩を使っていないという意味でもありません |
| グルテンフリー | 小麦(グルテン)を使っていない | 卵・乳のことは何も言っていません。米粉のクッキーでも、卵とバターが入っていることはよくあります |
| 特定原材料 不使用 | 表示義務のある品目を使っていない | もも・りんご・大豆など、義務の外にある品目は別の話です(次の項) |
実例:「無着色」は本当だったが添加物は7つ/「無塩せき」は原材料が少ないという意味ではない/「グルテンフリー」だが卵と乳とアーモンドが入っている
とくにグルテンフリーは、いつのまにか「アレルギーの人でも大丈夫」という意味で受け取られるようになった言葉です。本来は小麦を使っていないという意味しかありません。米粉のクッキー缶を「アレルギー対応だ」と思って贈ってしまうと、卵と乳のアレルギーがある方には食べられない、ということが起こります。
「特定原材料は使用しておりません」の範囲
アレルギーのある方への贈りものを探していると、この一文を見つけたときにほっとします。ただ、この一文が守っている範囲は決まっています。
表示が義務づけられている品目(特定原材料)
えび・かに・くるみ・カシューナッツ・小麦・そば・卵・乳・落花生。この品目は固定ではなく、実態調査に応じて追加されます。くるみは2023年、カシューナッツは2026年4月に追加されました。
表示が推奨されている品目(特定原材料に準ずるもの)
もも・りんご・大豆・ごま・キウイ・バナナ・やまいも・牛肉・豚肉・鶏肉・さけ・さば・いか・いくら・あわび・オレンジ・アーモンド・マカダミアナッツ・ゼラチンなど。こちらは推奨であって義務ではありません。書かれていない商品もあります。
日本橋・榮太樓のあんみつが、この違いがはっきり出た例でした。商品ページには「特定原材料は使用しておりません」と書かれていて、それは本当です。そのうえで原材料の最後に、こう書かれていました。
(一部にもも・りんごを含む)
矛盾していません。もも・りんごは「準ずるもの」で、特定原材料ではないからです。
あんみつにはフルーツのシロップ漬けが入るので、当然といえば当然です。「特定原材料なし」を見たら、そのすぐ近くにある原材料表示も最後まで読む——これが結論になります。→ 榮太樓 あんみつ6個入
品目が増えたばかりのときは、表示が追いついていないことがあります
- 新しく義務の品目が追加されるとき、表示の切り替えには2年ほどの猶予期間が設けられるのが通例です。くるみのときもそうでした。
- そのため、すでに作られて流通している商品には、追加前の表示のままのものが残っていることがあります。当ブログの過去記事にも「特定原材料7品目」と書いたものがありますが、これは執筆時点の品目数です。
- いちばん確実なのは、いま届く商品のパッケージを見ることです。
卵・乳・小麦を避けた商品ほど、ナッツが入る
これは商品を並べていて気づいたことです。卵・乳・小麦を使わずにお菓子をおいしくしようとすると、素材の候補がナッツと米粉と豆に寄っていきます。その結果、「卵・乳・小麦不使用」と大きく書かれた商品ほど、ナッツが入っていることが多くなります。
くるみとカシューナッツは表示義務、アーモンドとマカダミアナッツは推奨——木の実は、品目によって表示の扱いが違います。ナッツのアレルギーがある方に贈るときがいちばん読み取りにくい、というのが正直なところです。
はちみつと、1歳未満のお子さん
アレルギーとは別の話ですが、同じ「原材料を見て気づく」ことなので書いておきます。はちみつは、1歳未満のお子さんには与えられません。乳児ボツリヌス症の危険があるためで、これは厚生労働省・消費者庁からも繰り返し注意喚起されています。
出産祝いや内祝いのお返し、赤ちゃんのいるお宅への手土産では、ここを見落としがちです。はちみつ入りのお菓子や、蜂蜜で甘みをつけた商品は、原材料を見ないと気づきません。前の項に出てきたハニーショコラサンドも、あんみつセットの抹茶みつも、はちみつ入りでした。
赤ちゃんのいるお宅へ贈るとき
- はちみつ——1歳未満には与えられません。「加熱してあるから大丈夫」ではありません。
- そもそもお菓子は赤ちゃん本人が食べるものではないので、贈る相手は保護者の方だと考えて選ぶほうが自然です。
- 上のお子さんがいるお宅なら、そのお子さんが食べられるかのほうが実際には効いてきます。
原材料表示が商品ページに載っていないとき
ここまで「原材料を読みましょう」と書いてきましたが、そもそも商品ページに原材料が載っていないことがあります。お取り寄せのギフトでは、めずらしくありません。
探す順番
① 商品ページを下までスクロールする(商品説明の画像の中に書かれていることが多い)
② 「商品仕様」「商品情報」のタブを開く
③ 別ページになっていないか探す(伊豆河童のあんみつは「原材料一覧表」という別ページにありました)
④ メーカーの公式サイトで同じ商品を探す
⑤ それでも分からなければ、店舗に問い合わせる
⑤まで行くのは大げさに思えますが、アレルギーのある方に贈るのであれば、これがいちばん確実で、いちばん早いです。問い合わせて答えが返ってこない商品は、贈りものには向きません——という判断材料にもなります。
贈るときに、実際どうするか
STEP 1 聞けるなら、聞く
いちばん確実です。「アレルギーとか、苦手なものある?」と聞くのは失礼ではありません。むしろ、聞かずに贈られたものを前にして困るほうが、相手には負担です。親しい相手ほど、先に聞いてしまうほうが早く終わります。
STEP 2 聞けないなら、表示の言葉に寄りかからない
「無添加」「グルテンフリー」といった大きな文字ではなく、原材料表示そのものを見る。詰め合わせなら中身ごとに見る。ここまでで書いた4つのコツは、そのための道具です。
STEP 3 それでも不安なら、食べものから離れる
正直に書きます。症状の重いアレルギーがある方に、食べものを贈るのは難しいです。当ブログは食べものを紹介しているブログですが、ここは正直に書いておきます。
タオル・洗剤・入浴剤といった日用品や、相手が自分で選べるカタログギフトのほうが、相手を困らせません。「食べものにしなければ失礼」ということはありません。
相手が判断できる形で渡す
箱を開ける前に中身が分かるように、原材料の書かれた包装のまま贈る。小分けの個包装は、それだけで親切です。
よくある質問
「アレルギー対応」と書かれた商品なら安心ですか?
商品によって意味がちがいます。「特定原材料〇品目不使用」のように、何を使っていないかまで書いてある表示のほうが読み取れます。「アレルギー対応」という言葉だけでは、どの品目の話なのかが決まりません。
「同じ工場で卵を使用しています」と書いてあります。これは入っているということですか?
原材料としては使っていないけれど、製造の過程で微量に混ざる可能性があるという注意書きです。表示の義務はなく、メーカーが自主的に書いています。書いていないから混入がない、とも言い切れません。症状の重い方に贈るときは、この一文の有無にかかわらずメーカーに確認するのが確実です。
原材料が少ない商品のほうが良いのですか?
安全という意味ではありません。読み取りやすい、というだけです。原材料が「さつまいもだけ」「栗と砂糖だけ」のような商品は、贈る側が中身を把握しやすく、説明もしやすい、という利点があります。添加物が入っていることが悪いという話ではありません。
海外のお菓子はどう見ればいいですか?
輸入品でも、日本国内で販売されるものには日本語の表示ラベルが貼られます。原材料とアレルゲンはそこを見ます。通販の商品ページに日本語表示の写真が載っていないときは、問い合わせが早いです。
この記事に出てくる商品は、いま買っても表示は同じですか?
同じとは限りません。原材料も製造工場も変わります。この記事は「読み方」を説明するために実例を挙げているだけで、その商品の現在の内容を保証するものではありません。必ずその時点の商品ページをご確認ください。
この記事のまとめ
- スラッシュ「/」より後ろが添加物。スラッシュが無ければ添加物は使われていません
- 括弧は中身の説明。括弧の中の括弧まで開くと、卵・乳・小麦が見つかります
- 最後の「(一部に◯◯を含む)」にアレルゲンがまとまっています
- 詰め合わせは中身ごとに違う。いちばん危ないものに合わせて考えます
- 「無添加」「無着色」「無塩せき」「グルテンフリー」は、それぞれ狭い範囲のことしか言っていません
- 「特定原材料不使用」は義務の品目の話。もも・りんご・大豆などは別に確認します
- 卵・乳・小麦を避けた商品ほどナッツが入ります
- 聞けるなら聞く。不安なら食べものから離れるのも、失礼ではありません
※この記事は制度の解説ではなく、商品ページの読み方をまとめた読みものです。制度そのものは 消費者庁「アレルギー表示について」 をご確認ください。最終更新:2026年8月27日。